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粋方の心在らずや伊達飾

totteこんな事があった。
さる茶会で茶壷自慢をしていた時の事。
ある人が、300ccはある僕の茶壺を何の疑問もなく三本指でつまんで持ち上げようとする。
お湯を満たせば男でもつらい重さになる大きさの茶壺を、いきなり一人用の小さな茶壷を持ち上げるように持とうとするのだ。

道具に合わせて持ち方を変える事をしない人は以外に多い。
一人ひとり手の形が違うように、茶壷の楽な持ち方も手に合わせて人それぞれだから、どんな持ち方が正しいという話じゃないんだが、重さに耐えて指を震わせながら、大事な茶壷をつまみ持ちされては、持ち主としては甚だ心臓によろしくない。
だったら人に触らせなければいいのだれど、お茶会の席なんだから、そういう場じゃないでしょ。
教室などで、初めに「茶壺の持ち方はこう」と教わったら、無理をしてでもその形を固持しようとしているようだが、人の道具を借りる時、扱い方に気を付けて無理な事しないのは常識。もっともこの場合、その人には悪気も、無理をしていたという意識も全くなかったと思う。他の持ち方をするという発想がなかっただけだろう。

実は茶壺は個別にある程度持ち方が決まっている。
例えば茶壺の把手にちょっとした折り返しや突起がついている物があるが、あれ、実はデザイン上の特徴やただの飾りではない。
茶壺を持つ時しっかりと支えたり、バランスをとりやすくするため、力点となる指を引っ掛けるためのものだ。
また、把手そのものも、大きさや形、取り付け位置など、把手のどの部分で全体の重量を支えるかを考え、ある程度の重さになった時にきちんと3点で支えられるよう作られている。
だから把手が多少でも不規則な形をしていたら、それはどこに指をあてて重さを支えるかを想定した結果決まった形だと思っていい。何本指を通すのか?手のどの部分が支点になるのか?親指の位置や手の角度はどうか?
慣れてくれば、どのような持ち形をすればいいかある程度見えてくる物だが、色々持ち方を変えて見ると、まさしくツボに嵌ったように、驚く程軽く茶壺を支える事の出来るポイントが見つかる事がある。
中には持ち方をいろいろ試してもうまくバランスが取れない物もあるが、そんな時は茶壷が自分の手に合わないか、使い勝手をあまり考えていない出来の悪い茶壷と判断していいんじゃないだろうか。
実はこれこそ使いやすい茶壷を選ぶ時の一番重要なポイントなんだ。

指を置く位置を指定しているということは、その茶壷の設計段階で、茶壷作家がある程持ち方を想定していた事になる。
言い換えれば、こう持ったら楽だよ、とか、こう持ってほしいといった作家のメッセージが其所にあると言えないだろうか?

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Tracked on February 28, 2005 at 10:34 PM

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